ビーガンはコレステロール不足のためテストステロンが生成されない?そんな馬鹿な!!

2018年11月24日

あれは、ヴィーガンになってから3ヶ月ぐらいが経った頃でした。。。

昔であれば目玉焼き6個とかを朝食として食べていましたが、ヴィーガンになってからはピーナッツバターを塗ったトーストが定番。

その日の朝もきっとそんな感じの朝食を食べていて、気がついたんです。。。

あれ?ヴィーガンってコレステロール全く摂れないじゃんッッ!!
💪🏽ざっくり言うと…
  • コレステロールの働きは4つ(細胞膜の構築、胆汁酸の産生、ビタミンDの生成、性ホルモンの原料)
  • コレステロールそのものに害はなく、酸化した場合が問題
  • コレステロールの過剰摂取は心配には及ばない
  • ヴィーガンではコレステロールが摂取できないが、特に問題はない
  • コレステロールの摂取量は血中コレステロール値と直接関係がない

動画でも解説しています〜。

今回はコレステロールについてのお話です。
前半がコレステロールの概要、後半(コレステロールの目標摂取量から下)がコレステロールの摂取量についての考察になっています。

これを読んで理解すれば、「コレステロール博士」の称号を獲得できるほどにコレステロールについて詳しくなれます。
可能な限り分かりやすく書きましたが、それでも6,000字の専門記事で読み切るのは少し大変ですので、覚悟が決まった時に読むことをおすすめします。

長くてごめんなさい( TДT)

コレステロールって実は筋肉の味方なんです!

脂質の一種であるコレステロールですが、特に身体に悪いって印象が先行しているような気がします。

確かに、コレステロール値とか気にしちゃうかも。

最近ではコレステロールフリーのマヨネーズとか、コレステロール半分カット!みたいな商品を見かけますよね。
世の中からコレステロールが排除されようとしています。

でもちょっと待って!
コレステロールは決して悪い栄養素じゃないんです!

コレステロールの働き

人間の体におけるコレステロールの働きは大きく4つに分類することができます。

細胞膜の構築

これがコレステロールの主な働きですね。

私たち人間などの動物のお肌って植物と違って柔らかぷにぷにですよね。

確かに。ぷにぷに。

コレステロールにより構成される細胞膜は、どんな環境(温暖差)でも柔らかい状態(流動性)を保つことができるんです。

植物にはコレステロールがなく細胞が柔軟ではないので、引っ掻いたり折り曲げたりすると傷がついてしまいます

つまり、コレステロールは動物特有の成分なんです。

胆汁酸の産生

脂質が消化されるメカニズムを知っていますか?

口、胃、小腸などから分泌される消化液が栄養素と混ざりあうことで、消化液が栄養素を分解しますが、脂質はですので消化液と混ざりあうことができません。

水と油。。。
ヴィーガンとノンヴィーガン。。。
やめろや!!

ここで胆汁酸の出番!
胆汁酸は脂質を乳化させるんです。

💪🏽筋肉メモ

-乳化-
分離している2つの液体を混ぜ合わせること。
エマルジョン。
牛乳や豆乳、ココナッツミルクなどの「ミルク」は白い乳白色ですが、これは油と水が混ざっている状態。

この胆汁酸が脂質を乳化されることで、初めて消化液と混ざりあうことができ、消化ができるんです。

消化された脂質(グリセロールや脂肪酸、コレステロールなど)はその後、血管により輸送されますが、血液も水ですのでここでも乳化されている必要があるんです。

僕はヴィーガンとノンヴィーガンの共存、つまり乳化を目指したいので胆汁酸のような存在になりたい!
こいつ、なんか上手いことまとめた気でいるな。

そしてこの胆汁酸を作っているのがコレステロールなんです。

ビタミンDの生成

ビタミンとは体内で合成できないために、食事から摂取することが必須な栄養素ですが、ビタミンDは例外です。

まず、コレステロールが7-デヒドロコレステロールという物質に変化します。

7-デヒドロコレステロール。。。?
覚えられない場合はプロビタミンDという別名もあるから、そっちを覚えてね。

このプロビタミンD(7-デヒドロコレステロール)が紫外線に当たるとビタミンDに変化します。

ビタミンDは骨の代謝などに関係するビタミンですので、長い間紫外線に当たっていないと骨粗しょう症のような骨異常の原因となります。

プロビタミンDは牛乳などに含まれていますが、いくらプロビタミンDやコレステロールを摂取しても紫外線に当たらないとビタミンDとしては機能しないので注意が必要です。

性ホルモンの原料

筋トレ野郎注目!

コレステロールはビタミンDだけでなく、テストステロンやエストロゲンなどの性ホルモンの原料にもなります。

男性ホルモンであるテストステロンは筋肉の合成にとても関連深いホルモンで、このテストステロンレベルが高いほど筋肉の合成が活発に進みます。

一昔前は、「卵は1日2つまで」なんて言われていましたけど、今ボディビル界では卵を朝食に6-8個ぐらい食べるのが常識となりつつあります。

シルベスタースタローンなんか、ジョッキで生卵飲んでたよね。
でも、卵のタンパク質は加熱しないと消化効率が大幅に落ちるんだよね。
コレステロールは摂取できるんだろうけど。

管理栄養士
岡ひかり
ヴィーガンライフアドバイザーからワンポイントアドバイス💡

上記で解説されているように、テストステロンなどの生命が生まれる種になる性ホルモンから、私たちの体にある約60兆個の細胞のひとつひとつを包んでいる細胞膜の材料がコレステロールだということを考えると、コレステロールは人間の身体にとってなくてはならない重要な役割を担っていることが分かりますね。
“コレステロール”というだけで、摂取を拒んでいてはいけません!
大切なのは、バランスよく食べることです。

コレステロールが悪い方向に働く場合って?

コレステロールがとても大切な栄養素なことは分かった。
でも、じゃあなんであそこまで嫌われているわけ?

よく、血液検査でも悪玉コレステロール値が注目されますよね。

確かに、この悪玉コレステロール値が高くなることは動脈硬化などの心血管疾患へのリスクを高めることになるんです。

じゃあ悪玉じゃないコレステロールを摂取すればいいってことか!
残念〜。違います〜。

善玉と悪玉コレステロールの違い

本来のコレステロールには、悪玉、善玉のような分類がありません。
これは、血管内をコレステロールが移動する際の輸送組織の種類によって決定されるのです。

輸送組織??

さっきも解説したように、脂質などの油は液体と混ざり合わないためにそのままでは血液内に存在できません。
もちろんコレステロールも油ですので、このままでは血液中に存在できないんです。

ですので、コレステロールはリポタンパク質という輸送組織により運ばれるんです。

このリポタンパク質の良し悪しで善玉、悪玉が決まるわけですな。
半分正解。半分間違い。

一般的な認識では、リポタンパク質の種類で善玉、悪玉が決められています。

HDLコレステロール(善玉コレステロール)

High Density Lipoprotein コレステロール、つまり高密度なリポタンパク質により輸送されるコレステロールは、善玉コレステロールとして知られています。

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)

Low Density Lipoprotein コレステロール、つまり低密度なリポタンパク質により輸送されるコレステロールは、対照に悪玉コレステロールとして知られています。

密度が低いから壊れやすい、つまり悪玉コレステロールってこと?
それがよくある解釈だけど、若干間違っている。

これら2種類のコレステロール(というかリポタンパク質)はどちらも必須で、それぞれ別の働きを持っています。

HDLコレステロールは身体の末端組織で余ったコレステロールを回収する働きがあり、
LDLコレステロールは肝臓で作られたコレステロールを身体の末端組織に運ぶ働きがあるんです。

問題なのはこのLDLコレステロールが酸化してしまった場合。

活性酸素の効果によりLDLが酸化してしまった場合、これが異物として感知され排除されてしまいます。
輸送組織であったLDLが排除されてしまったので、コレステロールだけが血管内に残ってしまうのです。

終電に間に合わなくて品川駅に取り残されたサラリーマンみたいだな。

このように、品川駅にサラリーマンが取り残された場合、駅は混雑し流動性が失われて圧迫してしまいます。
このように、血管にコレステロールが取り残された場合、血液の流動性が失われ血管が圧迫されてしまいます

これが高血圧を引き起こし、動脈硬化や心筋梗塞といった心血管疾患の原因となるんです。

管理栄養士
岡ひかり
ヴィーガンライフアドバイザーからワンポイントアドバイス💡

LDLコレステロールは悪玉とされ避けられていますが、本当に脅威になるのはこれが酸化してしまった場合
抗酸化物質によって酸化を防ぐことが出来れば、コレステロールによる動脈硬化のリスクを大幅に下げることができます!

抗酸化物質を摂取することでコレステロールをしっかりと機能させる

酸化LDLコレステロールが増え、身体の末端組織にコレステロールだ届けられなくなると、LDLコレステロールの数はどんどん増えていきます。

つまり、LDLコレステロール値が基準よりも高い状態というのは、LDLの酸化が進んでいる状態である可能性が高いので、心血管疾患のリスクが高まっていることが分かります。

逆にHDLコレステロール値が高い状態では、LDLコレステロールが正常に働いていますので、コレステロールがしっかりと機能します。
コレステロールが機能するというのは、上記で紹介した4つの働き(細胞膜の構築、胆汁酸の産生、ビタミンDの生成、性ホルモンの原料)が上手くいっている状態ですのので、もちろんテストステロンレベルも高まります。

筋肉のためにもHDLコレステロールを高めることは大切ですね。

この場合、大切なのはHDLコレステロールやLDLコレステロールの量ではなく、それらの比率になります。

もちろん、コレステロールを多く摂取している場合は総コレステロール値は高まりますが、HDLコレステロールの総コレステロールに対する比率が正常であることが大切です。

そのためには、LDLを酸化させないように抗酸化物質を摂取するなどの対策が大切にで、コレステロールの摂取そのものを控えることはあまり効果的ではないんです。

管理栄養士
岡ひかり
ヴィーガンライフアドバイザーからワンポイントアドバイス💡

ヴィーガン食で中心に摂取することができる豆類・野菜・果物・海藻類といった食品には抗酸化物質が豊富なので、LDLコレステロールの酸化をケアすることができます。
現代人が陥りがちな“肉食 “に頼りきらず、野菜や果物、穀物などの色んな食品を摂ることにより身体の調子を整えやすくなったり、精神面にも身体的にもコンディションが良くなる傾向もヴィーガン食には見られます。
ぜひ具合の悪い時や週に一回のデトックスデイとして、一般の方も取り入れてみてはいかがでしょうか?

コレステロールの摂取量とテストステロンの関係

やっとここまできました!
結局僕が知りたかったのは、ヴィーガンってコレステロール全く摂取できないけど大丈夫なの?ってことですからね。
前置きなげーよ!
まぁ、コレステロールの概要についてはなんとなくわかったけどさ。

コレステロールの目標摂取量は基準によって本当に様々で、これが正しい!と定めることが非常に難しいです。

例えば、WHO(世界保健機関)では1日のコレステロールの目標摂取量は300mgなのに対して、日本の食事摂取基準(2010)では成人男性で750mg、成人女性は600mgと、いう基準が設けられていましたが2015年に全て撤廃されました。

コレストロールの摂取量は血中のコレストロール値とは直接関係ないんだよ。
え〜!なんでなんで〜!!
コレストロール量は体内で調節できるんだって。
詳しくは下で解説してるよ!

体内でのコレステロールの産生と循環

コレステロールの目標摂取量を科学するには、まずコレステロールの体内での合成量などを知る必要があります。

人間の身体には約100-150gのコレステロールがあると言われていますが、特別なコレステロールの貯蔵組織はありません。
主に、細胞壁、血液中、脳、肝臓などを循環することで存在しているのです。

内因性コレステロール

コレステロールは体内でアセチルCoAから合成することができます。
アセチルCoAは3大栄養素の全てから作ることができる物質でエネルギー産生の基礎となる栄養素のため、アセチルCoAが欠乏することは考えられないでしょう。

コレステロールが作られる場所は主に肝臓皮膚です。

どのくらい作られるの?

この、体内で生成されるコレステロールを内因性コレステロールと呼びますが、この内因性コレステロール量は外因性コレステロール量により大きく変動します。

外因性コレステロールっていうのは、体外から摂取して吸収されるコレステロールですね。

食事からほとんどコレステロールを摂取しなかった場合、内因性コレステロールは800mg/日まで上昇、つまり最大で1日に800mgまでのコレステロールは補うことができるのです。

外因性コレステロール

日本人の平均的な外因性コレステロール量は1,200-1,300mgです。

外因性コレステロールは小腸から吸収されるコレステロールのことですが、この外因性コレステロールの全てが食事に由来するわけではありません。

食事からコレステロールを摂ってるわけじゃないなら、どっからコレステロールが現れるんだ??

日本人の平均的なコレステロールの摂取量は300mg程度、残りの1,000mg胆汁酸由来のコレステロールなんです。

肝臓にてコレステロールから胆汁酸が作られて、それが脂肪吸収のために小腸へ排出される。
そしてその胆汁酸に含まれるコレステロールがまた小腸から再吸収されるんだよ。
なるほど!コレステロールが腸と肝臓で循環するわけか!
その通り!そしてこの様な栄養素の循環を腸肝循環と言うんです。

コレステロール 腸肝循環

コレステロールの過剰摂取は問題になる?

コレステロールを胆汁酸に作り変えて小腸へ送り出す働きは脂質を乳化させて吸収しやすくするためでしたが、同時に余分なコレステロールを排出する役割でもあるんです。

つまり、コレステロールは

  • 摂取量が増えた場合は、体内での合成量が減る(内因性コレステロール量の低下)
  • 過剰摂取分は胆汁酸として排出する

といった具合で、量が調節されているんです。

800mg以内の摂取であれば、内因性コレステロール量を減らすことで調節可能で、さらにそれ以上摂取した場合でも1,000mgまでは胆汁酸として排出することが可能です。

つまり、1,800mg程度の範囲内であれば比較的簡単に調節できるってことか。
まぁ、1,800mgもコレステロールを摂取したらそれはそれで脂質の過剰摂取が問題になるけどね。

ヴィーガンはコレステロール不足のため、テストステロン量が落ちる?

肉や卵をたくさん食べた場合は、脂質の摂取量(吸収量)も増えるので、それらを消化するための胆汁酸の必要量も増加します。

つまり、コレステロールもたくさん必要になります。

しかし、コレステロールが摂取できないヴィーガンやベジタリアンといった食生活では、脂質の摂取量も減るので胆汁酸の必要量も少なく、コレステロールもそこまでたくさん必要ではありません。
そして、これらは十分に内因性コレステロール(肝臓や皮膚で作られるコレステロール)で補うことができるんです。

でも、コレステロールの摂取量が減ったら筋肉を大きくするホルモンであるテストステロンが作られなくなるんじゃ?

確かに、コレステロールはテストステロンなどの性ホルモンの材料になるので、心配になりますよね。

というか、僕はそれが心配でコレステロールについて調べたんです。

そして調べた結果、コレステロールの摂取不足はテストステロンレベルに問題を与えないということがわかりました。

上記でもすこし解説をしましたが、大切なのはコレステロール量ではなく、総コレステロールに対するHDLコレステロールの比率です。

低コレステロールの食生活を実践した男性たちでは、HDLコレステロール量の低下が発見されたものの、総コレステロール:HDLコレステロールでの比率に変化はなく、そしてテストステロンレベルにも変化は見られなかったそうです。*1

また、ベジタリアンとノンベジタリアンの女性でHDLコレステロールとSHBG(性ホルモン結合グロブリン)の量を調べた実験では、ベジタリアンの女性のほうがHDLコレステロール値が高く、SHGBレベルも高かったそうです。*2

ベジタリアンでHDLコレステロール値が高くなる理由については後日、LDLコレステロール値の下げ方と一緒に解説します。

つまり、コレステロール摂取量が低くてもHDLコレステロール比が正常であればテストステロンレベルには問題なし!ということです。

ヴィーガンになったからってコレステロールの摂取不足を気にすることはなかったんだね。
というか、過剰摂取も特に問題なければ摂取不足も問題なしなんて、食品業界はなんであんなにコレステロールに注目してるんだ。。。?
「コレステロール0」って書いておいて、コレステロールの危険性を煽れば売れるからじゃない。
それだ!www

いかがでしたでしょうか?
やや難しい話題ではありましたが、健康食品業界の汚いマーケティングに騙されないためにもしっかり理解したいですね!

最後にもう一度、記事のまとめを置いておきます!

💪🏽ざっくり言うと…
  • コレステロールの働きは4つ(細胞膜の構築、胆汁酸の産生、ビタミンDの生成、性ホルモンの原料)
  • コレステロールそのものに害はなく、酸化した場合が問題
  • コレステロールの過剰摂取は心配には及ばない
  • ヴィーガンではコレステロールが摂取できないが、特に問題はない
  • コレステロールの摂取量は血中コレステロール値と直接関係がない

また、今回の記事を監修してくれた管理栄養士の岡ひかりさんは、現在当ブログのアドバイザーとして様々な記事を監修してもらっています。

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当ブログでも岡ひかりさんのプロフィール記事を用意しましたので、ご一読お願い致します!

参考文献

*1:Effects of a high-complex-carbohydrate, low-fat, low-cholesterol diet on levels of serum lipids and estradiol

*2:Diet and Reproductive Hormones: A Study of Vegetarian and Nonvegetarian Postmenopausal Women23